昆虫界のイクメン代表、タガメ!
日本における昆虫の種類は実に3万。凄まじい数ですが、
その中に育児をする仲間がいるのをご存知でしょうか?
今回はそんな昆虫界のイクメンの代表としてタガメをご紹介致します!
しかしこのタガメ、見た目が非常にいかつく、
とてもイクメンタイプには見えないのですが。
一体どのような育児をするというのでしょうか?
そして彼らが住む場所も気になります!
さらにタガメは体格の割に飛ぶのが上手いというのです。
謎が深まりますね!早速見ていきましょう!
タガメとは??
タガメのイクメンぶりを知る前に、
それ以外の一般的な特徴を押さえておきましょう。
タガメが属するのは、カメムシ目コオイムシ科タガメ亜科。
そう、実はタガメはカメムシの仲間なのです。
さらに大きさは48mm程度とカメムシの中で最大であり、
その大きさになるには1ヶ月程かかります。
ちなみにタガメは不完全変態であり、蛹(サナギ)の期間がありません。
分布は日本各地。また非常によく発達した前足も大きな特徴です。
前足は鎌状になっており、自分よりも大きな餌も難なく捉えることができるのです。
ところで、タガメが飼育可能なのをご存知でしょうか?
飼育人口は比較的多く、初めてでも挑戦しやすいかもしれませんよ。
タガメのイクメンぶりとは!?
タガメの育児は産卵~孵化の間に行われます。
卵は水上にある植物の茎等に固めて産み付けられ、
孵化までの期間が5~20日と幅が広いのが特徴です。
産卵後メスはその場を離れますが、
代わりにオスがやってきて卵の上に覆いかぶさります。
これがイクメンになる合図!ここからふ化まで、オスはひたすら卵を育てます。
育児中のオスの仕事は主に三つあり、その一つが卵への水やり。
これの目的は水上にある卵の乾燥を防ぐというものなのですが、
残りの二つは卵を敵の攻撃から守るという穏やかでない仕事となります。
実は攻撃を仕掛けてくるの意外な相手がメスのタガメ。
育児に没頭して相手にしてくれないオスに近づこうと卵を潰しにかかるのです。
敵はメスだけではありません。
小さなアリだって、卵からすれば大きな脅威です。
どうでしょう、オスのタガメのイクメンぶりをお伝えできていますでしょうか?
タガメはどこにいるの??
日本全国に生息するタガメ、彼らはどのような環境で生活しているのでしょうか。
それは意外にも山奥ではなく、適度に人の手が入った自然、つまり田んぼなどなんです。
そしてタガメ達が地上に現れるのは5~10月であり、
その期間は水深5~20センチの場所で植物などにつかまり餌をじっと待っています。
餌というのは例えばトノサマガエルやドジョウなどであり、
タガメの食欲を満たす十分な量が必要とされます。このような条件を満たす場所が、
かつては沢山あったようです。ところが農薬の登場が状況を一変させました。
農薬に弱いタガメは一気にその数を減らし、
なんと現在では絶滅危惧種に指定されるまでになりました。
タガメがいる場所、それは非常に限られているのかもしれません。
タガメは飛ぶ!?
その大きな体が目を引くタガメ。実は体格に似合わず結構飛ぶんです。
その距離1日になんと3キロ超え。
しかも飛ぶ前には準備運動?みたいなことをします。
頭、正確には胸部を腹部から伸ばしたり、引き寄せたり。
満足するまで繰り返したあと、翅を広げて飛び立ちます。
この準備運動の意味は謎ですが、そもそもタガメは何故飛ぶのでしょうか?
理由は様々考えられますが、灯りが好きというものその一つでしょう。
特に水銀灯がたまらないらしく、それが普及しだした1960年台には
大量のタガメが集まったそうです。しかし、飛んできたはいいものの、
そこにタガメの住む場所はありません。よって60年台以降、
タガメの数は激減することとなりました。自らを滅ぼす程、タガメは飛んでしまうようですね。
まとめ
日本最大のカメムシであるタガメ。その風貌はいかついの一言ですが、
昆虫界では珍しいイクメンでした。
人里近くに住み、かつては身近な存在でしたが、
農薬の登場と水銀灯の開発により今では絶滅危惧種の一つです。
そしてその背景にはタガメの高い飛翔能力があり、
人間と自然の関係を考えさせてくれます。
確かに数は減りましたが人気の高さは現在でも変わりません。
飼育も可能ですし、あなたもタガメのブリードにチャレンジしてみませんか??
次回もASAPアニマルニュースをお楽しみに!
・タガメの準備運動を見てみよう!