家庭菜園やガーデニングなど、
生活の中で緑に触れられる方は多いのではないでしょうか。
その時にテントウムシを見つければ少し幸せな気持ちにもなりますよね。
テントウムシはアブラムシを食べてくれる益虫ですし、ずっといて欲しい存在です。
しかし、今葉っぱに止まっているテントウムシは
駆除すべきテントウムシにそっくりな害虫かもしれません。
今回はヘリグロテントウノミハムシという、草食の黒い偽物てんとう虫を紹介します。
ヘリグロテントウノミハムシとは
今回ご紹介するヘリグロテントウノミハムシとは、
本州、九州、南西諸島に生息する草食であるハムシの一種です。
しかし見た目は完全にテントウムシ。これは、捕食されないように、
嫌な味がするテントウムシに擬態しているんです。
その完成度から黒いてんとう虫とも呼ばれますが、
本物のテントウムシより体が小さく、体長は3.5ミリ程度しかありません。
発生するのは越冬を終える3月からであり、落ち葉の下で
目覚めた成虫はすぐに卵を産み始めます。
卵は10日ほどで孵化し、出てきた幼虫は葉をエサにしながら
６月ころに成虫へと成長。この成虫も幼虫と同じように植物が大好きで、
特に柊（ひいらぎ）を好むようです。ちなみに、ヘリグロテントウノミハムシは
危険を感じるとジャンプします。まさにノミですね。
益虫のテントウムシ
ヘリグロテントウノミハムシは普通の益虫テントウムシと何が違うのでしょうか？
まず益虫てんとう虫の大きな特徴は草を食べないこと。
例えばよく知られているナナホシテントウは肉食であり、
アブラムシやカイガラムシをエサとします。
植物を衰弱や食害から守ってくれる頼もしい存在ですが、
別の益虫てんとう虫であるキイロテントウは植物を病気から守ってくれるんです。
植物の病気の一つとして細菌による、うどんこ病が有名ですが、
なんとキイロテントウはこの細菌が大好き。
沢山食べてうどんこ病を予防してくれるわけです。
そしてこのような働きぶりから、益虫てんとう虫の評価は抜群。
体が6ミリ程と大きく沢山食べることもあり、
多くの農家で生物農薬として利用されています。
害虫のヘリグロテントウノミハムシ
一方、どうしてヘリグロテントウノミハムシは恐れられるのでしょうか。
実は害虫とされるてんとう虫はこれだけではなく、
ニジュウヤホシテントウなどいくつかの種類が含まれます。
ただこれらには草食性という共通点があり、
野菜などの商品を食べ跡で悲惨な姿に変えてしまうのです。
しかも、その食べられた野菜は光合成をしにくくなり、
病気になったり、最悪枯れてしまうことだってもあります。
ヘリグロテントウノミハムシの場合は柊やキンモクセイを食害しますが、
やはり多くの人を悩ませてきました。
しかも、ヘリグロテントウノミハムシが恐ろしいのは、
他の害虫てんとう虫に比べて農薬に強いということです。
スミチオン乳剤など、効果が確認されているものは多くはありません。
益虫との違いと対策
ここまでで、ヘリグロテントウノミハムシには注意がいると
お分かりいただけたと思います。
他の虫と一緒に植物を傷つけ、病気の原因となることもある
この黒いヤツは益虫テントウムシとは正反対だと言っていいでしょう。
しかも他の害虫テントウムシに比べて薬に強いとまできています。
恐ろしい存在ですが、予防には落ち葉の掃除が効果的です。
春になる前に、越冬中のこの虫を除去してしまいましょう。
それにもかかわらず発生を許してしまったら、
とりあえず一匹捕まえてみます。
ヘリグロテントウノミハムシなら、
体長は益虫テントウムシの半分ほどのはずですし、
逃げる時はジャンプするでしょう。
もし駆除が必要なら、テントウムシに効きそうな
薬を探すのではなく、スミチオン乳剤やオリトラン液剤など
ヘリグロテントウノミハムシに対して効果があるものを使ってください。
まとめ
それでは今回の内容をまとめてみます。
テントウムシには益虫と、それにそっくりな害虫がいます。
益虫テントウムシは植物を守ってくれますが、
それに擬態しているヘリグロテントウノミハムシは草食であり、
植物を食い荒らしてしまう大害虫です。
農薬に強いこの小さな黒いヤツには要注意。
できるだけ発生を防ぎ、それがうまくいかなければ
スミチオン乳剤などを使うことを考えましょう。
あなたの植物もヘリグロテントウノミハムシに
狙われているかもしれません。ご注意ください！
ヘリグロテントウノミハムシを観察！短いですがご参考下さい！
