ASAPアニマルニュースです!
英語では「シードラゴン」や「シーホース」などの名で呼ばれ、
日本語では「タツノオトシゴ」と魚らしくない名前で呼ばれているこの生き物。
「そもそも、魚の仲間なのか?」なんて声も聞こえてきそうですね。
魚らしくないへんてこな形をしてはいますが、
鰓とヒレがちゃんとあるので、正真正銘魚の仲間なんですよ。
今回は、そんな有名なのに意外と知らない
タツノオトシゴの生態についてご紹介します。
オスが出産・子育てをする魚
タツノオトシゴの一番の特徴は、
なんといってもオスがお腹に「育児嚢(いくじのう)」
と呼ばれる器官をもっていて、その中で子供を育てることです。
オスが卵の世話をする魚は珍しくはないですが、
オスが出産するというとこのタツノオトシゴの仲間位です。
オスが育児・出産するため、
繁殖に関してはメスよりオスの方が重要になってきます。
そのため、他の魚だとほとんどは
メスがオスを選んで番うのですが、
タツノオトシゴの場合はメスからオスに求愛し、
オスがメスを選ぶこともあるんですよ!
また、タツノオトシゴは魚には珍しく「一夫一妻」といって、
基本的にはペアを変えずに繰り返し繁殖します。
イクメンの上に貞節な旦那とは、
女性からするとなんともうらやましいものですね!
タツノオトシゴの飼い方
そんなイクメンなタツノオトシゴも家で飼育することが出来ますよ!
また、かなり大変ではありますが、水槽で繁殖もできる魚なんです。
ここでは、飼育方法を5段階に分けて解説しますね。
①購入
繁殖を考えている場合は、オス・メス最低1匹ずつは必要です。
タツノオトシゴは、お腹に袋があり下腹部が丸っこいのがオス、
下腹部が角ばっているのがメスと簡単に見分けることが出来ます。
あるいは、お店の人に「オス・メス1匹ずつ下さい」と
注文すれば対応してくれると思いますよ。
②水槽の準備
水槽の準備に関しては、特別な注意点などはないので、
水槽・ろ過フィルター・ヒーターがあればOKです。
水温はタツノオトシゴの種類にもよりますが、
国内の種類であれば20~23℃で飼育可能です。
自然界では、海藻などに尾を巻き付けて
じっとしていることが多いので、
尾を巻き付けられるようなものを
水槽内にレイアウトしてあげると落ち着きますよ。
③餌やりについて
タツノオトシゴの飼育で一番大変なのが餌の調達です。
なぜなら、基本的には生きた餌にしか反応しないからです。
また、口が細く小さいため、小さい餌しか食べれません。
エサの調達方法は、購入と採集の2つあります。
購入では、活イサザ(ニホンイサザアミ)が
手に入りやすいかと思います。
採集では、海でプランクトンネット(網目の細かい網)を曳いてください。
網を曳く場所は、プランクトンの豊富な海藻の多い場所が良いです。
または、夜に水面を光で照らすとプランクトンが寄ってくるため、
簡単かつ大量にエサをゲットできます。
ただし、採集は海が近くにないと毎日のエサを確保するのは
難しいため、あまり現実的ではないかもしれませんね。
また、「基本的には生きた餌しか食べない」と書きましたが、
冷凍ブラインなどに慣らすことも可能です。
ただし、個体によって慣れないものがいたり、
時間がかかったりするため、
冷凍餌に慣らすにしても根気が必要になるでしょう。
④飼育・観察
水槽に入れた後は、毎日しっかり観察して、
不調の兆候が見られないかチェックしましょう。
呼吸が早い、エサを食べないなどの不調が見られる場合は、
以下のことが原因として考えられます。
・水質の悪化(換水不足、ろ過能力不足)
・水温の変化(23~25℃になっていない、特に27℃以上の高水温に注意)
・同居生物や環境によるストレス
・白点病などの病気
原因を見極めて、換水したり、
同居生物を移動させたり、投薬したりなどの
対応を行ってくださいね。
⑤繁殖
タツノオトシゴは、オスとメスが揃っていて、
エサが十分に食べれていれば、
他に特別な操作なくとも容易に繁殖してくれます。
繁殖前にはオスがお腹を膨らませて
メスの周りでアピールする求愛行動が見られるようになります。
メスも産卵の準備が出来ていたら、
メスがオスのお腹に卵を産み付けます。
妊娠中(?)のオスは、明らかにお腹が大きくなって、
いつもにもまして動かなくなるのですぐに分かりますよ!
妊娠期間は種類によっても異なりますが、
大体3週間程度で出産します。
生まれた子どもがフィルターに吸い込まれたり、
同居生物に食べられないように場合によっては
隔離などの対処が必要です。
水槽内で子どもが生まれたら、別の水槽に収容してください。
エサはやっぱり生きたものが必要なので、
アルテミアのふ化幼生を湧かしてあげて下さい。
子どもの飼育は中々手間がかかりますが、
小っちゃいタツノオトシゴはずっと見ていたくなるくらい可愛いので、
ぜひチャレンジしてみてくださいね!
まとめ
・タツノオトシゴはオスが
お腹にある育児嚢で子どもを育て、出産する。
・エサの調達が大変だが、
繁殖も狙えるため、飼育し甲斐のある魚。
水槽でゆらゆらと動くタツノオトシゴは、
見れば癒されること間違いなし!
飼育も決して難しいわけではないため、
興味があればお家で飼育してみてくださいね!
次回もASAPアニマルニュースをお楽しみに!