守りは完璧！人間も無視できないカタゾウムシ！
皆様はゾウムシをご存知でしょうか？
その名の通りゾウみたいな見た目をしている昆虫なのですが、
その種類は世界で6万種ともいわれます。
その中でも異彩を放つのが今回の主役であるカタゾウムシ。
彼らは鳥をもあきらめさせる最強の硬さを持つというのですが。。
どうして硬いの？どうやって硬くなったの？色々と気になります！
そして私達との関係は？？最初にはカタゾウムシの
プロフィールをまとめました！
楽しいカタゾウムシの世界へご案内いたします！
カタゾウムシとは？？
今回ご紹介するカタゾウムシとは何者なのでしょうか？
まず彼らの原産地は、フィリピン・台湾・
インドネシア、そして日本の八重山諸島です。
大きさは11~15mm程。
幼虫期間は、日本に生息するクロカタゾウムシで3~4か月です。
そしてカタゾウムシは体が非常に美しいのも大きな特徴。
これには自らがとても硬く、食べるのは危険であると
警告する意味があると言われています。
ところでカタゾウムシは飼育することができるんです。
サツマイモ等で増やすことができ、挑戦するのは比較的簡単でしょう。
しかし注意してほしいのが、カタゾウムシは害虫であることです。
それがその地域のものであっても、
増えすぎたからといって外へと逃がすのは
控えた方がいいかもしれません。
カタゾウムシは最強に硬い？
カタゾウムシの硬さ、それは彼らが昆虫で
あることを疑ってしまうほどです。
例えば、カタゾウムシは硬さゆえに標本用のステンレスの針が使えず、
テープで固定するのが普通となっています。
そして例えば鳥のような昆虫を捕食する生き物にとっても
この硬さは厄介なものとなるんです。
カタゾウムシを食べた場合、捕食者はその丈夫な体を消化できず、
消化不全を起こします。するとカチカチの塊が
消化管を引っ掻き回すことになり、
カタゾウムシを食べたものは激痛に苦しむことになるんです。
これがトラウマとなり、彼らを捕食するものは
ほとんどいなくなりました。天敵が消えるほどに
硬くなったとは凄いの一言じゃないですか？？
硬さの秘密は？？
このように凄まじい程の硬さをもつカタゾウムシですが、
そのボディはどうやって作られるのでしょうか？？
最近の研究で、細胞内の共生菌であるナルドネラが
重要な役割を持っていることが分かりました。
細胞内共生菌は宿主の細胞の中で生活し、
栄養をもらいながら宿主が必要とする物質を作ります。
実は人間の細胞に細胞内共生菌がいた名残があり、
例えばエネルギーを作るミトコンドリアもかつては
細胞内共生菌であったと考えられているんです。
ではナルドネラは何を作っているのでしょうか？
それはHPPと呼ばれる物質。
カタゾウムシはこの大量のHPPを沢山のチロシンに変換し、
体表面のクチクラ層をこれでもかというぐらい硬く仕上げるんです。
カタゾウムシの硬さの裏には良きパートナーがいるんですね。
人間との関係は？？
先ほど少し触れましたようにカタゾウムシは害虫とされており、
人間との関係はあまりよくないのかもしれません。
カタゾウムシはフルーツの木などを食害するのですが、
一般的な害虫と異なり天敵が限られています。
よって一度発生すると大量に増えてしまう為、
対策法が模索され続けてきました。
そんな中、先ほどの共生菌ナルドネラに大きな注目が集まっています。
例えば抗生物質などを使い、カタゾウムシのナルドネラを消したとします。
するとカタゾウムシは硬くなることができず、
ふにゃふにゃな成虫となるんです。
まだ実験段階ですが、農園にいるカタゾウムシを
全部ふにゃふにゃにできれば鳥などが食べてくれるでしょう。
人間とカタゾウムシの関係は変化の中にあるのかもしれません。
まとめ
圧倒的な硬さを持つカタゾウムシ。
彼らの美しさにはそんな硬さへの自信が現れているのでした。
それを食べたものは激しい腹痛に苦しみ、
二度と口にしなくなるというのは怖いの一言。
そして鳥などの天敵がほとんどいないまでに進化した
カタゾウムシを裏から支えているのは細胞内共生菌ナルドネラ。
それは1億年以上前からカタゾウムシとパートナー関係を
持ち続けているのでした。人間をも悩ませるその完成度に、
私達は何か学べるかもしれませんね。
・カタゾウムシを解説！
※クロカタゾウムシに抗生物質を与えると色が赤っぽくなるという意見もあります
