農業をするのは人間だけ??
農業は人間だけがするもの。そうお考えの方が多いのではないでしょうか。
しかし、あまり知られていないことに昆虫の中にも農業をするものがいるのです。
その中でも特にアリには農業をする仲間が多く、彼らの奥深さには感動間違いなしです。
そんな農業をするアリとして今回はタイワンシロアリにフォーカス。
彼らの農業、きのこ作りをご紹介致します。
そして最後には普通のアリとの違いをまとめてみました。それでは早速参りましょう。
タイワンシロアリとは!?
今回の主役はタイワンシロアリ。一体彼らは何者なのでしょうか?
タイワンシロアリの生息地は沖縄本島、並びに日本最南西端の島々である八重山諸島です。
また、彼らは日本で唯一きのこを栽培するキノコシロアリとして知られています。
そして、幼虫期間は1~2年。そののち8mm程度の成虫へ成長します。
ところで、シロアリと聞きタイワンシロアリも家を食い尽くす害虫なのでは?
とお思いの方がおられるかもしれません。確かに、彼らは害虫として扱われています。
しかし、それは家屋を痛める為ではなく、サトウキビなどを食害するから。
という訳で如何でしょう?タイワンシロアリの姿が少し見えてきましたでしょうか。
タイワンシロアリの農業を紹介!
いよいよタイワンシロアリのきも、彼らの農業をご紹介致します!
まずは彼らの農園へご案内いたしましょう。
タイワンシロアリの巣を下に進むと、大きな部屋が見つかります。
それは菌園と呼ばれ、まさにこれがタイワンシロアリの農園です。
ここに木くずや枯れ葉を集め、きのこの胞子を植える為の菌床と呼ばれる塊を作ります。
きのこはここで成長し、菌糸を伸ばし始めるのです。
成長した菌糸が粒状となり、それが菌床に沢山現れるようになりました。
これは実りの合図、タイワンシロアリは粒を収穫し皆で分け合い食べるのです。
因みにシロアリは役割分担をする生き物。
その役割は職蟻、兵蟻、ニンフ、、と様々ですが、きのこを栽培するのは職蟻の役目です。
きのこ作りは難しい??
タイワンシロアリが行う、きのこづくり。一見簡単そうに思えますが、
実は人間にとっては中々難しいもののようです。
人間のきのこ作りは、カビなどの雑菌との闘いと言えるでしょう。
まず滅菌した培地を用意することから始まります。そこへ胞子を植えつけるのですが、
その際には雑菌が入らないよう細心の注意が必要です。
そこから上手く培養できても次には植菌、つまり木などの新たな培地に植え替える作業が待っています。
ここでも雑菌を避ける必要があり、高圧殺菌釜で培地を滅菌。
以後この培地できのこは完全に成長しますが、
ここまでやってもやはり全ての培地が成功するとは限りません。
カビが生え、きのこの菌が駆逐されてしまうことがあるのです。
このように人間にとって難しいきのこの農業を、タイワンシロアリはこなしています。
これは凄いの一言ではないでしょうか。
普通のアリとはここが違う!
最後にタイワンシロアリと普通のアリの違いを押さえておきましょう。先ずは分類からいきます。
普通のアリは、ハチ目・スズメバチ上科・アリ科。
一方、タイワンシロアリは、ゴキブリ目シロアリ科。
そう、アリがハチに近いのに対し、タイワンシロアリはゴキブリに近い存在なのです。
そしてシロアリの仲間ですからタイワンシロアリには目がなく、嗅覚や触覚がよく発達しています。
また、アリとは違い二次生殖虫が発生します。
二次生殖虫とは、女王アリとは別に生殖能力を持っているシロアリのことで、
巣の爆発的拡大を可能にしています。
タイワンシロアリは普通のアリとは全く違う。そう考えて間違いないでしょう。
まとめ
日本で唯一のキノコシロアリであるタイワンシロアリ。
彼らはきのこ作りで何千年と命を繋いできました。
きのこ作り、それはその言葉の雰囲気からは想像できないほど難しい作業であり、
人間はその為に巨大な設備を開発する程です。最後には普通のアリとの違いを確認。
タイワンシロアリの大きな特徴はきのこを作ること。そしてシロアリであることでした。
ここで朗報。タイワンシロアリはご家庭で飼育可能なようです。ご興味のある方は是非!!
次回もASAPアニマルニュースをお楽しみに!
・タイワンシロアリを観察!インパクトが強めなので、苦手な方は閲覧に注意して下さい。